SPECIAL

放送開始直前!堀越耕平先生スペシャルインタビュー

※週刊少年ジャンプ2016年17号(3月28日発売)掲載インタビューのアニメ公式サイト版になります。

アニメ放送開始を目前に控え、『僕のヒーローアカデミア』原作者の堀越耕平先生にインタビューを敢行!
作品にかける想い、自分のヒーロー像などを語ってもらいました!

◆まずアニメ化が決まった時の気持ちを教えてください。

たしか、コミックスの3巻が発売されるあたりに聞いたのですが、とにかくびっくりしました。まだ連載を始めてから1年も経っていなかったので、最初は戸惑いしかなかったです。その後、友人や家族に報告したら、すごく喜んでくれて。
そんな喜んでくれている反応を見た時にようやく、「わ!すごい!アニメ化するんだ!」っていう実感がわいてきて、やっと素直に喜べました。


◆『僕のヒーローアカデミア』が誕生したきっかけというのは?

僕の2作目の連載がすぐ終わってしまった時に気持ち的にすごく落ち込んでしまって、新しいアイデアを出せるほど漫画に対して気力がなくなってしまったんです。でも、早く次の作品のアイデアを出さないといけない。じゃあこれまでに描いてきて、描いていて楽しかったことだけやろうと思って。以前に『僕のヒーロー』という読切作品を描いていた時は楽しかったから、これを元にした連載にしようと。
ただ、そうは言ってもこれまでに自分が過去に描いていた他の作品の好きな部分とかをいろいろ盛り込んで描いています。だから、現時点での僕の集大成的なものが『僕のヒーローアカデミア』なのかもしれません。


◆先生が小さいときに好きだった漫画やアニメはありますか?

『ドラゴンボール』を読んでいましたね。たしか(人造人間の)セルが開く大会で「セルゲーム」というのがあって、そのあたりの巻を繰り返し読んでました。


◆『ドラゴンボール』から影響を受けたことはありますか?

僕の中で「一番強いヤツは筋肉ムキムキですごいパワーを持っていてほしい」というのがあって。例えば『ドラゴンボール』で悟空が超サイヤ人になったあたりの体つきがすごく強そうで大好きなんです。オールマイトはその影響は少なからずあると思います。


◆アニメでは?

アニメだと、『魔神英雄伝ワタル』という作品が大好きで、すごく観てました。(登場キャラクターの)シバラク先生とか大好きで、マネしてたりしてましたね。


◆『僕のヒーローアカデミア』はアメコミのテイストが特徴的ですが、昔からお好きだったんですか?

最初はサム・ライミ監督の実写の映画『スパイダーマン』からだったんです。それが衝撃的で、そこからちょこちょこ他のコミックも読みだすようになって。まず単純にかっこいいなあって。参考にしている点というと、例えばキャラの置き方が日本の漫画と違う感じがします。あとはこの辺に殴った音を入れるんだなとか。あとは黒さとか、影のつけかたですね。ベタのバランスみたいなものは、逐一いろんなアメコミを見て、なるほど、こういうところに入れるとこういう画面になるんだなと、まだ実際に全然描けてないですけど、勉強しながらやってます。


◆アニメの長崎監督が本作はジャンプ王道でありながらどこか新しいと話していました。アメコミのテイストだったりがひとつの要素かと思いますが、そういう意識はありますか?

正直、あんまり他の作品と違いをつけようっていう感じで描いてはなくて。ただ、作品全体のイメージとして、やっぱりオールマイトを作った時にそれに引っ張られていった感じがありましたね。


◆キャラクターでやはり気に入っているのはオールマイトですか?

オールマイトは意外と遊べないんです。No.1のヒーローであって平和の象徴だから、セリフとかすごい慎重に何度も推敲して入れないといけなくて。自分で描いているんですが、大変だなと…。
逆に気楽に描けるのは(爆豪)勝己ですね。僕は大友克洋さんの『AKIRA』が好きなんですけど、『AKIRA』に出てくる鉄雄っていうキャラがいて、ガキのまま本当にすごい力を持ってしまって、なんていうんだろう…、とにかく力の使い方が子供なんですよ。
そういうのがすごく好きで、そういうキャラクターを出したいなと思っていました。だから勝己は精神的に子供なんですけど、すごい力を持っているっていう…。戦い方も飛び回る感じで、あとギャアギャアわめいたりとか、そういうのは描いてて楽しいので…読者の皆さんは気分を害すかもしれないですけど、個人的には描いていてすごく楽しいし、お気に入りではあります。


◆物語を描く時に気を付けている、こだわっているところってありますか?

デクとオールマイトの物語が話の縦糸、ストーリーの軸としてあって、実はあまり明るい話ではないかなと。アニメが始まる前なので詳しくは言えませんが、デクとオールマイトが背負っているものとか、二人だけの話をガッ!てやっていくと、どんどん暗い話になっていく感じがしていて。僕自身の、どんどん「内」に入っていくという性格もあると思うんですけど…。そうならないために、縦糸に対しての横糸というか、遊びの部分を、ヒーローでいうと"個性"だとかサブキャラとか、そういうのを楽しんで描くことで、縦糸のちょっと薄暗い部分を中和できるような感じにしたいなと。横糸を楽しむっていうのは、心がけてますね。自分が楽しめるように、明るくなれるように。


◆これまで描いてきたエピソードで、これは描いていて楽しかったなとか、いい話だとか 自分なりのお気に入りのエピソードは?

自分なりに全部気に入っているんですが、アニメでも描かれると思いますが、デクと勝己が初めて戦う戦闘訓練のエピソードが、やっぱり気持ち的にすごく乗って描けました。連載作品としても、ここでガッとお客さんつかめないとダメだぞ!という感じで、序盤の見どころでもあり頑張って描いたので、気に入ってます。それにちゃんとそこで評価をいただけたのでホッとした、というところまで含めて、一番印象深いかなと思っています。


◆次にメインキャストについて伺いたいんですが、まずデク役の山下大輝さんの印象は?

実は僕はデクの声って元々あんまり想像していなくて、だからVOMIC(※集英社運営のボイスコミック)の時に初めてデクに声がついているのを聴いて、その時にすんなり「こういう声だったんだ」って思いました。
VOMIC版の山下さんの声以外は想像できなくて、だからアニメ版ではオーディションでたくさんの声優さんの声を聞いたんですけど、山下さん以外は考えられないや、ってなりました。


◆爆豪役の岡本信彦さんはいかがでした?

勝己はこれだなっていう感じでした。さっき言ったんですけど、勝己は『AKIRA』の鉄雄みたいなイメージだったんで、岡本さんの声が、言い方悪いですけど子供っぽい、やんちゃっぽさがすごくあったので。しゃべり方もなんとなく中学生がイキっている感じをすごく出してくれたんで、ああもうこれは岡本さんだなと、すごいしっくりきましたね。


◆お茶子役の佐倉綾音さんと飯田役の石川界人さんは?

佐倉さんのお茶子はとにかく可愛らしくて。戦う時にどういう声になるかも楽しみにしています。飯田は、実は描いてて飯田のキャラがちょっとハッキリしていなかったんですが、石川さんの声を聴いたときになるほどねって重なった部分がありました。


◆そしてオールマイト役の三宅健太さんですが、ご本人はオールマイトは演じるのがすごく難しいと。自然体がすでにヒーローなキャラクターということで…。

僕は三宅さんのオールマイトを聞いたときに、デクに話しかけるときにしゃがんで目線を合わせて話してる感じがするな、と思ったんです。オールマイトって話す時は上から目線ではない、よくよく考えるとそうだなって、僕の中で描いてたのと自分の認識がずれてたなと…。ちょっと聞いただけでもそれを感じとれたので、僕は三宅さんのオールマイトがめちゃめちゃ気に入ってます。


◆昨年にPVで初めて動く画を見たかと思いますが、その時の感想は?

とにかくスゲェ…っていう感じでした。人並みのことしか言えないんですけど。ああ、本当に動いてるなぁって。なんて言うんだろうなぁ、本当にすごいというか、見ていて自然にニヤけちゃって。その時は仕事中で、スタッフさんと一緒で、すごくニヤけちゃってあんまりそれを見られたくなくて(笑)。とにかく本当に嬉しかったです。長年の夢であったので、アニメ化っていうのは。ホント、嬉しいしか言えないんですけど


◆アニメ化に際して一番期待していることは?

やっぱりアクションですね。漫画で動くところが、実際どうやって動いているのかと…。たまに(原作で)アクションが分かりづらいっていうご意見もいただいたりするので、そこをすっきりと派手に見せられるのはアニメならではだと思うので、なるべく派手にガツンとやってほしいなと思っています。 (ボンズさんに対し)すごい期待値があがっています(笑)。楽しみにしています。


◆そういえば堀越先生は、以前からキャラクターデザインの馬越さんのファンだったと聞きました。参加を聞いたときは?

信じられなかったです。話が出来すぎてるなって思いました。アニメ化に関して、例えばこの人にやってもらいたいなとかは考えてはなかったし、編集さんと話してもいなかったんですけど、誰かが勝手に僕のことをいろいろ調べ上げて、なんかレールを敷いてヨイショしまくるみたいな…。なんかあったらひっくり返されるんじゃないかっていうくらい、それだけなんか出来すぎてるぞって思いました。嬉しかったんですけど、嬉しさがちょっと度がすぎました。


◆先生が好きなヒーローは誰ですか?

やっぱり『ドラゴンボール』の悟空と、スパイダーマン。ヒーローって聞かれたらこの二人かなぁ。悟空はやっぱり(ピンチに)来てくれた時の安心感。ナメック星で、悟空が怪我を治している時に仲間がボコボコにやられて、それでようやく悟空が回復して出てきたときに、当時すごい安心したんです。ああ、もう大丈夫だって。本当に、悟空が来ただけでもう勝ったような。あの安心感は他のキャラクターには無いなって、後々ですけどすごく思って。やっぱり「助けてくれる安心感」があるっていうのが僕のヒーロー像です。僕にとって、ヒーローは人助けして安心感を与えてくれる人なので。あとスパイダーマンはさっき話したとおり実写映画からだったんですが、とにかく人を助けるシーンが多くて、そのたびにかっこいいなって思ってました。
それと、最近『アンパンマン』の映画を観て、すごくかっこよくて。一般市民、というかカバオくんとかですけど(笑)、ばいきんまんとかにやられていても、アンパンマンがきたらもう絶対に大丈夫じゃないですか。アンパンマンが来たらみんな途端に「やれやれー!」みたいになって。ああいうのってすごいなって。人が一人現れただけで大勢の気持ちがポジティブになっちゃう。それって安心感だと思うんですけど、そういう存在がヒーローかなぁって。もちろんいろんなヒーロー像あるんで、そうじゃないだろうっていう人もいると思いますけど、僕が思うのはそういうヒーロー。『僕のヒーローアカデミア』では、そういうヒーローをちゃんと描きたいなって思っています。


◆読者、ファンの皆様へメッセージを

アニメ化は、本当に自分には分不相応なくらい豪華にやってもらっていて、逆に僕がそれに振り落とされないようにしっかりついて行かなきゃなくらいに考えてます。それだけアニメがすごく楽しみなので、原作も負けないように盛り上げていければと思っています。これからもよろしくお願いします。

一覧へ戻る

クッキーポリシーについて